FX投資では一般的にタブーとされている両建て。
FX自動売買においても両建てはタブーなのでしょうか?
両建てのメリットとデメリットについて考察してみました。
両建てとは?
両建てとは、同一通貨ペアの買いと売りのポジションを同時に保有することを言います。
例えばドル円のロングポジションを100万通貨保有している場合、両建てを行うにはドル円を100万通貨ショートする必要があります。
両建ては保有ポジションの損失拡大を限定する手法として知られていますが、多くのFX会社は以下の理由により経済的合理性を欠く恐れがあるため、両建てを推奨していません。
- 売値と買値の価格差(スプレッド)を二重に負担する必要がある
- 支払いのスワップポイントと受取りのスワップポイントの差を負担する必要がある
FX自動売買における両建て
FX自動売買はトラリピやループ・イフダンに代表されるリピート注文とみんなのシストレやQUOREAに代表される選択型システムトレードの2つに分類されます。
選択型システムトレードは通貨ペアではなく、ストラテジーなど売買プログラムを基準にポートフォリオを組む自動売買であるため、両建てという手法はあてはまりません。
したがって両建てという手法の有効性はリピート系発注機能において考慮する必要があります。
両建ての可否と証拠金
FX会社によっては稀に両建てを禁止しているところもありますが、当サイトで紹介しているリピート注文は全て両建てを許容しています。
また証拠金についてはMAX方式を採用しており、同一通貨ペアの売建玉と買建玉の証拠金額を比較し、金額の多い方のみ証拠金として必要となります。
出典:外為オンライン
両建てのメリット
両建てにはどのようなメリットがあるのでしょうか?
ひとつめは、前述のように証拠金が売建玉と買建玉の証拠金の金額の多い方しかかからない点です。
MAX方式を採用しているため、レバレッジが実質最大50倍になったと言うこともできます。
ふたつめは、相場が騰貴しても下落しても利益が出る点です。
例えば相場が円高に進んだ場合、買いの自動売買が含み損を抱えていても両建てなら売りの自動売買が利益をあげてくれます。
また想定したレンジ内で乱高下した場合、利益が2倍になることもあります。
このようにFX自動売買において両建ては少ない証拠金で利益を倍増する可能性を秘めています。
両建てのデメリット
しかし一方で両建てには大きなリスクも潜んでいます。
ひとつめは、必ず損切りを行う必要がある点です。
買いだけの場合、相場が上に抜ければ全てのポジションが解消され、利益が確定されます。
逆に売りだけの場合、下に抜ければ全てのポジションが解消され、利益が確定されます。
ところが両建ての場合、上に抜けても下に抜けたも片方は必ず含み損が残るため、手仕舞う時には必ず含み損を確定させることになります。
したがって手仕舞うまでに含み損以上の利益を確定させておかなければ、トータルでマイナスとなってしまいますが、含み損以上の利益を確定させるためには想定したレンジ内での推移が長く続く必要があります。
しかしFX初心者にとってこのレンジ幅を読むのは至難の業です。
私たちは相場を読むことができないからこそリピート系発注機能を重宝しているのです。
ふたつめは、スワップ益がマイナスになる可能性があることです。
通常、FXでは買いスワップと売りスワップでは売りスワップの方が多くなっているため、買いと売りのポジション量が同じ場合にはスワップの支払いだけが残ってしまいます。
どうしても両建てで稼ぎたいのであれば、売りの数量を買いより少なるするか、売りの値幅を買いよりも広げて、買いポジションを売りポジションより大きくするなどしてスワップが受け取れる状態を維持することが必須です。
両建て関連のサービス
両建てのメリットを生かしながらデメリットを和らげることを目指した両建て関連のサービスを紹介します。
トラリピのハーフ&ハーフ
両建てと似た手法にトラリピのハーフ&ハーフという手法があります。
出典:マネースクエア
ハーフ&ハーフとは、トラリピを仕掛ける範囲(レンジ)を決めたら、そのレンジ内の上半分に売りのトラリピ、下半分に買いのトラリピ を仕掛けるトラリピ戦略です。
ハーフ&ハーフでは売りと買いのレンジが重ならないため、売りと買いを同時に保有する両建てとは別物と考えることができます。
ハーフ&ハーフの場合、レンジ幅の中央付近で手仕舞うことができればプラスで終えることができますが、仮にレンジ幅を見誤って上に抜けてしまうと日々スワップの支払いに悩まされ続けることになります。
結局、ハーフ&ハーフも両建てのデメリットを解消することはできません。
ハーフ&ハーフならレンジ幅を上半分と下半分で分けるのではなく、レンジを10等分し、一番上のレンジにだけ売りトラリピを仕掛け、買いトラリピとの間に大きな隙間を作り、上抜けを回避する工夫が必要です。
スワップ金額スプレッドゼロ
トラリピでは、同一通貨ペアにおける受取りと支払いのスワップを同額とすることでスワップの支払い負担を軽減する「スワップ金額スプレッドゼロ」というサービスがあります。
元々は期間限定のサービスでしたが、ユーザからの要望により2016年8月から定常サービスとなっています。
スワップ金利スプレッドゼロは、売りと買いのポジションが同数の部分についてはスワップが同額となるのでスワップの支払いが生じなくなります。
このサービスを使えばスワップ益がマイナスになるというデメリットを解消することができます。
トライオートFXの「レンジ追尾」
両建てで面白いのがトライオートFXのレンジ追尾です。
レンジ追尾は、「売り」と「買い」の同条件の注文を過去1年など広範囲のレンジ(価格帯)に細かく設定する機能で、相場がどちらの方向に動いても利益を得ることができます。
レンジ追尾は、トライオートFXの仕掛けランキングに登録されているので選ぶだけで簡単に設定することができます。
レンジ追尾もレンジ相場では無類の強さを発揮しますが、レンジを抜けるとあっという間に損失が膨らみます。
為替コヤジもユーロ/米ドルのレンジ追尾を使って稼いでいますが、あくまで半年から1年程度の短期勝負を心掛けて下さい。
まとめ
長期運用のリピート系発注機能において両建ては以下の理由から有効な手法にはなりえないと言えます。
- リピート系発注機能において収益の柱となるスワップ益が期待できない
- レンジ幅をピタリと当てる必要がある。特に上抜けは資金面でも精神面でもかなり厳しい
ただし、両建ては売り買い両方の注文を発注するので、相場観に自信のない方や方向が読みづらい相場には非常に有効です。
両建てを行うなら短期勝負でレンジを抜ける前に勝ち逃げするつもりで取り組みましょう。
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