トラリピは複数通貨ペアをハーフ&ハーフで運用するのが王道ですが、複数通貨ペアで運用していると資金管理がかなり難しくなります。
そんな時、役立つのがトラリピのリスクシミュレーション機能です。
この記事ではリスクシミュレーション機能の使い方から注意すべきポイント、さらに為替コヤジのロスカットレート管理ツールについて解説しています。
- アラフィフの会社員兼投資家
- 投資歴13年、運用資産5,000万円
- 時価残高ベース実績(万円)[2022年]-2,279 [2023年]+1,112 [2024年]+1,058 [累計]+580
- トラリピやROBOPRO、投信積立、仮想通貨積立などのほったらかし投資メイン
トラリピの「リスクシミュレーション」とは?
トラリピの「リスクシミュレーション」とは、実際のトラリピのポジションやレートを模擬的に変更することで維持率や損益がどのように変化するかを検証することができる機能です。
単一通貨ペアでトラリピ運用を行っている場合のロスカットレートはトラリピ運用試算表で容易に算出することができますが、複数通貨ペアでトラリピ運用を行っている場合には様々な条件が絡み合うのでシミュレーションが効果を発揮します。
トラリピのリスクシミュレーションを起動するにはトレード画面の左上の「MENU」をクリックし、ツールの「リスクシミュレーション」をクリックします。
そうすると以下のようなシミュレーション画面が起動します。
画面の各項目の見方は以下の通りです。
②レート … 各通貨ペアのレート。レートを変更すると変更後のレートが下段に反映される
③ポジションサマリ … ポジションや評価損益、証拠金。シミュレーション結果が反映される
④口座状況 … 維持率や証拠金。シミュレーションを実行すると変更後の口座状況が下段に反映される
⑤シミュレーション操作履歴 … 実行したシミュレーション操作が表示される
リスクシミュレーションでどんなことができるのか?
リスクシミュレーションでできることは以下の通りです。画面左の「シミュレーション操作メニュー」から行います。
- レートを変更してみる
- 入金・出金をしてみる
- ポジションを持ってみる
- ポジションを決済してみる
- 日数を進めてみる
それぞれの機能の目的と操作方法を確認していきます。
1. レートを変更してみる
レートを変更することで維持率や損益がどのように変化するかを確認することができます。
レートを上げる場合はASKに、下げる場合にはBIDにレートを入力します。スプレッドは自動計算されます。
2. 入金・出金してみる
入金や出金をすることで維持率がどのように変化するのをシミュレーションすることができます。
特に相場の急落などで維持率が下がった場合に入金することでどのくらい維持率を回復できるかを確認するために使うことが多いでしょう。
3. ポジションを持ってみる
ポジションを増やした場合や通貨ペアを追加したい場合にポジションが増えたら維持率がどのように変化するのをシミュレーションすることができます。
注文形式は「トラリピ(レンジを指定)」以外に「トラリピ(トラップ値幅を指定)」「通常注文(価格を指定)」が可能です。
4. ポジションを決済してみる
ポジションを決済してポジションを減らした時に維持率がどのように変化するのをシミュレーションすることができます。
特に相場の急落などで維持率が下がった場合に損切りすることでどのくらい維持率を回復できるかを確認するために使うことが多いでしょう。
5. 日数を進めてみる
日数を進めることでスワップポイントの増減による評価損益のが変化を確認することができます。
プラスのスワップポイントなら日数を進めることで評価損益が増え、マイナスのスワップポイントなら評価損益が減ります。
なお、スワップは直近の実績が変わらないものとして計算されます。
ロスカットレートを確認する方法
一通り、トラリピのリスクシミュレーションの使い方を説明しましたが、今度は実際にロスカットレートを確認する方法を解説します。
まず全体としてシミュレーションは複数通貨ペアを保有している場合には計算できません。
通貨ペアを1種類しか保有していない場合は矢印の部分にロスカットレートがでますが、上記のように複数通貨ペアを保有している場合には「-」と表示されます。
では、複数通貨ペアを保有している場合にどうやってロスカットレートを確認すればいいのでしょうか?
それは口座状況の証拠金維持率で判断します。
トラリピの場合、有効証拠金に対して証拠金維持率が100%を下回っていた場合、ロスカットになります。
シミュレーションで口座状況の証拠金維持率(下段)を確認しながらレートを変更し、証拠金維持率(下段)が100%になった時のレートがロスカットレートのギリギリ手前ということになります。
リスクシミュレーションの注意点
リスクシミュレーションを使う上で注意しなければならないのは、決済注文はシミュレーションに考慮されないという点です。
実際にリスクシミュレーションを使いながら解説します。
以下の画面はNZドル/円の売りトラリピのポジションです。シミュレーション操作メニューの「ポジション一覧をみる」から表示させることができます。
NZドル/円の売りトラリピは全部で16ポジションありますが、取得価格が一番低いポジションは一番下の70.100円です。
為替コヤジのトラリピ設定ではNZドル/円・売りの場合、1円下がるごとに決済する設定になっていますので69.100円まで下がると全てのポジションが決済されるはずです。
では、実際にシミュレーションでNZドル/円のレートを69.100円に変更してみます。
シミュレーション結果は以下のようになりました。
本来であれば全てのポジションが決済されていて欲しいところ、一切決済されずに評価益だけが増えてしまっています。
各ポジションの決済益は1,000円(スワップポイント除く)であるはずなのにそれ以上の評価益となっているため、口座状況は現実よりはるかにいい状態となってしまいます。
このようにトラリピのシミュレーションを使用する際、同一通貨ペアで売り・買い両ポジションを持っている場合にレートを変更すると決済注文が通らずに評価益が膨らみ続けるので注意して下さい。
なお、新規注文に関してはレートの変更によってポジションを取ってくれます。
為替コヤジのロスカットレート確認方法
トラリピのシミュレーションは決済注文が無視されるという欠陥があるため、同一通貨ペアで売り・買い両ポジションを持っている場合には使い物になりません。
為替コヤジはかなりの量のポジションを保有しているため、決済レートまでレートを変更してポジションを決済するというシミュレーションをポジション数分繰り返すことは現実的ではありません。
そこで為替コヤジはExcelで簡単なツールを作成して、ロスカットレートを管理しています。
下の画像が実際に使っているExcelツールですが、運用額と保有ポジションを入力するとロスカットレートが自動計算されるようになっています。
Excel関数だけで作成した簡易ツールなのでトラリピ公式のリスクシミュレーションのように高機能ではありませんが、レートを変更してポジションを増減させるだけなので簡単にシミュレーションすることができます。
また、それぞれの通貨ペアに事前に資金を割り当てておくことでロスカットレートを把握する方法もあります。
たとえば、運用資金300万円でカナダドル/円、豪ドル/NZドル、NZドル/米ドルの3通貨ペアを運用しているとします。
300万円のうち、カナダドル/円に150万円、豪ドル/NZドルに100万円、NZドル/米ドルに50万円とあらかじめ割り当てておきます。
3つの通貨ペアを別の口座で管理するイメージですね。
それぞれの通貨ペアについてトラリピ運用試算表でロスカットレートを計算しておけば、個々の通貨ペアのロスカットレートを管理することができます。
ただ、カナダドル/円が下落してロスカットレートが近づいてきた時点で、豪ドル/NZドルがまだ余裕でも、それぞれ別口座と捉えるので全体の資金効率は下がります。
まとめ
トラリピ公式のリスクシミュレーション機能は複数通貨ペアで運用している場合のロスカットレートを計算するには便利ですが、ロスカットレートがずばり表示されるわけではありません。
レートをいじってみて口座状況の証拠金維持率が100%を下回った時点のレートがロスカットレートです。
またシミュレーションは決済注文は考慮されていないので注意が必要です。
決済注文を正しく反映させるためには、少し面倒ですが決済レートまでレートを変更してポジションを決済するというシミュレーションをポジション数分繰り返す必要があります。
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