リピート型自動売買は大量の含み損を抱えながらコツコツと利益を積み上げるトレード手法です。
そのため、他のトレード手法と比べて資金管理が特に重要となります。
資金管理上、計画通りの含み損であれば何も問題はありませんが、この資金管理を怠った結果招いたしまった含み損に対しては何らかの手を打たなければなりません。
指をくわえて眺めているだけではいずれ強制ロスカットを喰らってしまいます。
想定外の含み損に対して取れる対策は2つだけ
このような想定外の含み損に対して取れる対策は2つしかありません。
ひとつは資金を追加して証拠金維持率を上げること、もうひとつは損切りです。
ただし、損切りを決断したとしてもどのポジションを損切りするかはよく考える必要があります。
損切りするのは損失が大きいポジション?小さいポジション?
まず損失が大きいポジションと小さいポジションのどちらを損切りすればいいでしょうか?
例えば、110円と120円のドル/円の買いポジションがそれぞれ1万通貨あって、現在のレートが100円、口座残高が10万円だったとします。
まず必要証拠金を計算すると
110円×1万通貨×4%+120円×1万通貨×4%=9.2万円となります。
この時の証拠金維持率は
口座残高(10万円)÷ 必要証拠金(9.2万円)=約109%になります。
この状況で、10万円だけ損切る場合を考えてみましょう。
120円の買いポジションを決済する場合
まず、120円の買いポジションを決済する場合、ポジションの含み損は20万円ですから10万円損切るなら、5,000通貨分の決済になります。
そうすると、残ったポジションは110円の買いポジション1万通貨と120万円の買いポジション5,000通貨になるので必要証拠金と証拠金維持率は以下のようになります。
●必要証拠金
110円×1万通貨×4%+120円×5,000通貨×4%=6.8万円
●証拠金維持率
口座残高(10万円)÷ 必要証拠金(6.8万円)=約147%
110円の買いポジションを決済する場合
次に、110円の買いポジションを決済する場合を考えてみましょう。
このポジションの含み損は10万円ですから10万円損切るときは、1万通貨全て決済することになります。
そうすると、残ったポジションは120円の買いポジション1万通貨のみになるので、必要証拠金と証拠金維持率は以下のようになります。
●必要証拠金
120円×1万通貨×4%=4.8万円
●証拠金維持率
口座残高(10万円)÷ 必要証拠金(4.8万円)=約208%
まとめ
このように同じ額を損切りするとしても損失額の大きいポジションを損切るか、小さいポジションを損切るかで証拠金維持率が大きく変わってきます。
従いまして強制ロスカットを避けるために証拠金維持率を上げたいときは損失額の小さいポジションを決済しなければなりません。
逆に元々、証拠金維持率が高く、維持率を上げることよりも、残ったポジションの平均価格を下げたい場合には損失が大きいポジションを決済するといいでしょう。
含み損を決済して節税対策
FX取引で一定以上の利益が出た場合、自ら確定申告を行い、必要な納税額を算出して税金を納めなければなりません。
確定申告をする必要があるのは下記に該当する方々です。
職業 | 対象 |
---|---|
自営業・自由業 | FXなどで得た所得が38万円を超える場合 |
主婦・学生 | |
会社員(給与収入額が2,000万円以下の給与所得者) | 給与所得や退職金以外の所得(FX含む)が20万円を超える場合 |
年金生活者(公的年金等の収入金額が400万円以下の方) | 公的年金等に係る雑所得以外の所得(FX含む)が20万円を超える場合 |
FXの税金は一律20.315%(所得税15.315%・住民税5%)なので確定利益100万円の場合、納税額は約20万円となります。
ところが含み損が50万円あった場合、これを損切りしてしまえば確定利益が50万になるので納税額は約10万円となり、10万円の節税となります。
さらに損切りすることで確定利益を20万円未満にすれば会社員の場合、納税する必要がそもそもなくなります。
このように損切りを決断した場合でも利益がほぼ確定する年末に行えば節税効果を得ることができます。
もし含み損を抱えたポジションが近いうちにプラスに転じると見ているのであれば、一度決済し、損失を確定させたうえで再度ポジションを取り直せば、買い直しのスプレッドや手数料を除き節税効果だけを得ることができます。
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